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幅 : 6.2cm×6.2cm 高さ : 6.5cm
淡い雨過天青(うかてんせい)の釉が全体を包む小振りの酒盃です。轆轤で挽いた素地をあえて手で軽く潰し、指先でねじるように撓(たわ)ませることで、流水を思わせる柔らかな筋とくびれが生まれています。口縁は四方に揺らぎ、釉を薄掛けに留めて銀鼠色(ぎんねずみいろ)の鉄縁(てつぶち)を浮かべ、静かな青の世界に侘びた輪郭を添えています。底部は三点の小さな足でわずかに卓上から浮き、影が器体を軽やかに持ち上げる効果を生んでいます。
鉄粉を抑え、高温還元後に酸化寄りへ切り替える「還元落とし」で赤味を排した澄明な青を実現。釉層内にはわずかな乳濁が残り、奥行きを感じさせます。
貫入と鉄点
胎土と釉の膨張係数を近づけ、大きな貫入を抑制。一方で凹部の釉溜まりには細かな氷裂と鉄点が現れ、景色のアクセントになっています。
鏡面仕上げ
仕上げの低温還元で釉表層を再溶融し、しっとりとした艶と柔らかな映り込みを獲得しています。
温度保持:厚釉と浮足構造が空気層を生み、冷酒はひんやり、燗酒はじんわりと適温を保ちます。
口当たり:揺らぐ縁が唇に多面的な触感を与え、酒が舌上へ滑らかに流れ込みます。
グリップ:胴のくびれと凹凸が指掛かりとなり、安定して持ちやすいです。
三足の意匠は殷周期青銅器の〈鼎〉や〈爵〉に淵源を持ち、聖性と安定感の象徴とされてきました。日本では桃山茶陶の頃から侘びの遊びとして写され、青瓷の端正な世界に「崩し」を加えることで生命感を表現する流れが生まれます。本作はその系譜を汲みつつ、現代の酒席に映えるミニマルなサイズと柔らかな造形で再解釈されています。
光の揺らぎ
斜光を当てると凹凸が水面のように反射し、青釉のグラデーションが刻々と変化します。
鉄縁の経年美
口縁の銀鼠は使い込むほど黒艶を帯び、淡青とのコントラストが深まります。
浮足の影
三点足が落とす影が器を宙に浮かせたように見せ、軽やかな存在感を強調。
多賀井正夫様の「青瓷ぐい呑」は、澄明な青の静けさと轆轤挽きの動勢、そして三足が生む軽やかさが調和した“掌中の景色”です。一献ごとに器肌の表情が変わり、年月とともに釉下の霞が深まる過程が、酒の記憶と重なって豊かな物語を紡いでゆきます。どうぞ末永くご愛用いただき、季節の酒とともに青瓷の移ろいをご堪能くださいませ。
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